30代女性が過労でうつ病になってから復職するまでの記録

30歳の時に過労からうつ病を発症した女が、休職・治療・復職の体験の記録を残します。うつ病で苦しんでいる働く女性の助けになれば幸いです。

認知行動療法で自分の考え方のクセを知ると、心がラクになった

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うつ病の先輩(過去記事)が良かったものとして教えてくれたものの中に、認知行動療法がありました。本屋でうつ病関連の本は一通り目を通していたので、言葉はすでに知っていましたが、細かい内容はまだ知らなかった私。彼女が言うには、「本を読むだけじゃなくて自分で実際に書くことが大事だよ」と。早速本屋に行き、購入したのがこれです。決め手は、通っている病院で先生の本棚にあったのを覚えていたので。認知行動療法の手法紹介とともに、自分で書き込めるページもついています。

こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳

こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳

 

 

 ※注意※
私は、回復期に入ってすぐの頃にやりましたが、最初は早すぎたのかなかなか受け入れられませんでした。そういう場合は、もう少し後でもう一回取り組んでみると、いいかもしれません、参考まで。

 

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認知行動療法とは 、「現実の受け取り方」や「ものの見方」(=認知)に働きかけて、こころのストレスを軽くしていく治療法のことです。うつ病になっている時は、この認知に歪みが生じており、物事を否定的に捉えてしまっていることがあります。これを、修正し、ストレスを軽くする考え方をできるようにするのが、認知行動療法です。

 

 

 まずは、「自動思考」といって、何か出来事に直面した時に瞬間的に浮かぶ考えやイメージに着目します。たとえば、自分の過去の出来事を当てはめると…

 

《状況》 任された仕事が終わらない

《気分》 恥(90%)、悲しい(50%)、いらだち(50%)

《自動思考》 自分はいつもこうだ。今度こそ周囲から軽蔑されるに違いない

 

次に自動思考の認知の歪みをチェックします。特徴的な認知の歪みとして挙げられているのが次の9つです。

①根拠のない決めつけ
②白黒思考 
③部分的焦点づけ 
④過大評価・過少評価 
⑤べき思考 
⑥極端な一般化 
⑦自己関連づけ 
⑧情緒的な理由づけ
⑨自分で実現してしまう予言

 

私の場合は
《自動思考》 自分はいつもこうだ。今度こそ周囲から軽蔑されるに違いない
なので、歪みが入っているかな?と思ったのはこのあたり。

 

①根拠のない決めつけ⇒周囲の反応を自分で決め込んでいる
③部分的焦点づけ⇒今回の仕事の評価だけで自分の全てが否定されると思っている
⑤べき思考⇒何があっても自分一人で完璧にこなさなければならないと思い込んでいる

 

特に自分は、③と⑤の考えに陥りがちだなと思いました。これ、本当に書くと自分で愕然とします。客観的に見られるので、自分で「はい、考えすぎー」なのがわかるようになります。

 

次に、「根拠」「反証」と言って、自動思考を裏付ける事実と、事実思考と矛盾する事実を書き出します。この場合だと、

 

《根拠》仕事が遅れているのは事実、実際に終わらなかったら周囲の人が何かを思うこともあるだろう

《反証》終わらないと決まったわけじゃない、仕事の進め方に関しては「注意される」かもしれないが、自分の人格まで否定されることはない 

 

客観的に事実を見つけると、自分が悩んでいた点の論点のズレに気付くことができます。現実は根拠の通りだし、反証の事実を考えると、悪い方へ悪い方へ考えが偏っていたことが分かります。これを基にして、「適応的思考」という柔軟な考えを書くと

 

《適応的思考》終わらなければまずいので、まずは周囲の人に相談しよう。手伝ってもらえるか、期限を延ばすことは可能か、どうしても無理だったら期間内に終わらせる方法が他にないかもう一度検討しよう。

《心の変化》恥(50%)、不安(40%) 

 

と、自分が書いたとは思えないような前向きで建設的な思考がいつの間にか書かれています(笑)最初のうちは、これを「本当の自分の考え」と受け止めるのはなかなか難しかったです。「理想論にすぎない」「現実には無理」という考えを持ちつつ、作業として書いている、そんな感じでした。ですが、何回か繰り返し書いたり、シートに書く以外にも頭の中で、出来事を認知行動療法で見てみるという練習を繰り返していると、自分の考えに柔軟性が出てきたのが分かりました。というか、これまでの自分の自動思考を「ひっどい考え方だなぁ〜」とププッと笑える程度に客観的に見られるようになりました。

 

このような考え方のクセを「スキーマ」と言います。自分の場合は、「〜べき思考」に縛られていることが一番多かったです。あとは、完璧主義ですね。終わらせる=完璧に仕上げること、と思っているので、他の手段が視野に入っていないということが分かりました。

 

上の例で言うと、

・仕事が終わらない自分が徹夜で残業してなんとか終わらせる

以外の行動が浮かばない状況でしたが、他に考えられる方法としては、

・ゴールを変更する(完璧主義を手放す)
・同僚や後輩に手伝ってもらう
・上司に相談する

このように、方法が他にもいくつかあることが分かります。
当時はこれらが全く目に入っていませんでした。

 

自分の認知がこんなに偏っていたなんて!驚きでした。
うつ病は生真面目な人がなるもの。でも、自分は別に生真面目じゃないし、と本気で思っていましたから。自分のことって分かっていないものですね。私は、この認知行動療法の考え方が徐々に身についてきてから、「うつ病になったことにも意味があったんだな」と思えるようになりました。むしろ、この経験をさせてくれてありがとう、とすら今は思えます。世の中を心地よく生きるための知恵を手にいれたという感じでしょうか。もちろん、認知行動療法をきちんと勉強されている方からすれば、まだまだ使いこなせてないのかもしれませんが、まずはやってみることが第一歩。今後も気持ちが沈むたびに、この本を手にとって、自分で自分を立て直せるようになりたいなと思います。

 

マイナス思考と上手につきあう 認知療法トレーニング・ブック──心の柔軟体操でつらい気持ちと折り合う力をつける

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